研究概要 |
1998年より星細胞に発現する蛋白質を網羅的に解析するためにプロテオームプロジェクトをおこない、ラット活性化星細胞に特異的に発現する分子群を同定した(Kristensen DB, Kawada N, et al. Hepatology 32:268,2000)。この過程で今回の研究の主体となったstellate cell activation-associated protein (STAP)を発見した(Kawada N, Kristensen DB, et al. Biochem,276,25318-25323,2001)。さらに、ヒト星細胞株からヒトSTAPもクローニングした(Asahina K, Kawada N, et al. Biochim Biophys Acta 1577:471,2002)。STAPは新しいグロビン蛋白でありcytoglobin(Cygb)と命名された。Cygb/STAPは素結合能をもつ。肝臓のみでなく、膵臓や腎臓の線維芽細胞にも発現することが判明した(Nakatani K, Okuyama H et al. Lab Invest, 84,91-101,2004)。Cygb/STAPは星細胞の活性化とともに発現上昇し、内蔵臓器の線維化に重要な役割を果たす事が示唆されている。Cygb/STAPの結晶解析の結果、この蛋白はhexa-coordinate globinであり、ミオグロビンやヘモグロビンとは酸素との親和性が異なる可能性が示唆された。既に、種々の動物のCygb/STAP cDNAをクローニングしており、今後、蛋白独自の機能解析へと移行したい。
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