研究概要 |
1)Retrovinls-mediated tetracycline gene regulation system (Retro-Tet system)に血管新生因子であるvascular endothelial growth factor (VEGF)およびbasic fibroblast growth factor (bFGF)を単独、あるいは重複感染させたマウス肝癌安定形質株(BNL-VEGF, BNL-bFGF, BNL-VEGF-bFGF)を作製し,Teracyclineにより遺伝子発現が制御されることを確認した。 2)作製したマウス肝癌安定形質株を用いてin vitroにおけるVEGF, bFGFの高発現の影響について検討したところ、両因子ともにin vitroにおける肝癌細胞の増殖には影響しないが、マウス皮下に移植した場合は腫瘍内血管新生の増加を伴って腫瘍発育は著明に促進された。腫瘍増大効果はVEGFがbFGFよりも強く、両者を共発現させると著明な相乗腫瘍発育促進効果を認めた。 3)VEGFとbFGFの相乗効果のメカニズムについて検討したところ、bFGFによるKDR/Flk-1を介するVEGFの腫瘍内誘導が関与していることが判明した。 以上1)-4)の成果をYoshiji H et al. Hepatology 35;834-842,2002に発表した。 4)Angiotensin-II (AT-II)をACE阻害剤により抑制することによりVEGFの低下を伴つて肝発癌を抑制することを示した (Yoshiji H et al. J of Hepatology 37;22-30,2002)。 5)ACE阻害剤の投与によりRetro-Tet systemによるVEGF高発現肝癌発育は、腫瘍内血管新生阻害を伴って著明に抑制されることを示した(Yoshiji H et al. Int J Oncol 20;1227-1231,2002)。
|