研究課題
基盤研究(C)
1)生理的ならびに病態時の腸リンパ球遊走C-Cケモカインのthymus-expressed chemokine(TECK)/CCL25とそのおリガンドであるCCR9がマウス小腸における生理的条件下での粘膜固有層のリンパ球ホーミングとTNFα刺激による炎症時のリンパ球接着を調節していることを明らかにした。Ovalbuminによるラット慢性アレルギー性腸管モデルにおいて絨毛とパイエル板の微小血管にCD4リンパ球の集積が認められ、リンパ球の遊走にMAdCAM-1が関与していた。2)リンパ組織における樹状細胞の遊走kinetics腸管由来の樹状細胞のうち、未熟なものは貪食能が高いが抗原提示能は低く、逆に成熟した樹状細胞は貪食能が低いが抗原提示能は高かった。接着因子のICAM-1、CD11b/cに対する抗体で樹状細胞を前処置しても遊走能は変化しないが、サイトカイン処置により樹状細胞は成熟化し、ケモカインレセプターの発現が変化して所属リンパ節遊走kineticsが変化した。3)腸間膜リンパ節マクロファージの応答腸管から遊離した癌細胞は辺縁洞に流入しリンパ洞周囲マクロファージと接触する。このマクロファージは癌リンパ節転移の第一線の内在性防御機構であることが示された。癌細胞はmacrophage migration inhibitory factor(MIF)を表出しており、リンパ洞周囲に在住するマクロファージの遊走を制御して癌の増殖、浸潤に寄与していることが示唆された。一方、癌細胞がリンパ洞に流入すると辺縁洞マクロファージはTNFα、髄洞マクロファージはIL-1βの発現が増加しており、MIFなどを介して癌細胞とリンパ節の免疫担当細胞がcross-talkしている可能性が示された。
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