研究概要 |
腸上皮におけるcyclooxygenase 2(COX2)の過剰発現は、炎症誘起物質(iNOS)の発現を抑えcytoprotectiveに働く可能性があり、そのメカニズムとしてCOX2蛋白もしくはCOX2のby-productsによりNF-・Bの活性化が抑制される事を、我々は報告してきた(Am J PhysioI Gastrointest and Liver Physiol 281:G688-696,2001)。しかしその一方でNF-・Bは、組織適合抗原,FAS, TRAILやchemokainなどの物質の発現にも関与しており、COX2の過剰発現によるNF-・Bのactivationの抑制は局所の腫瘍免疫を減弱する可能性も推定された。今回、我々は大腸癌細胞株であるHCA7,HCT 116,HT29,DLD-1を、COX2発現の有無により分類し、これらの大腸癌細胞が免疫担当細胞の一つであるMφ,CTLの腫瘍免疫に与える影響を調べる事とした。 大腸癌細胞株のcharacterizationとして、COX2の発現をWestern blotで、PGE_2の発現をELISAで調べた。その結果、非刺激時、HCA7でCOX2蛋白、PGE_2の発現が認められ、DLD-1,HCT 116,HT29ではCOX2蛋白、PGE_2の発現は認められなかった。一方、COX2のinducerであるIFN・+LPSやTNF・・でこれらの大腸癌細胞株を刺激した際は、HCA7>DLD-1>HT29>HCT 116の順でCOX2蛋白、PGE_2の発現が認められた。 更に、これらの大腸癌細胞株にapoptosisを誘導するFASの発現をWestern blotで調べたが、HT29,DLD-1,にて、Fasの発現が認められた(DRについては、現在精査中)。 今後はこれらの大腸癌細胞株を、IFN・・・・・・・で前処置した免疫担当細胞とco-cultureしCOX2の細胞障害能(apoptosis)にあたえる影響を調べると同時に、そのメカニズムとして考えられるFas-Fas igand, TRAIL-DR系に与える影響や、i-NOS産生能についても検討する。
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