研究課題/領域番号 |
14570511
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
高橋 弘 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (50206843)
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研究分担者 |
成相 孝一 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (60297413)
並木 禎尚 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (00338930)
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キーワード | Fasリガンド / アポトーシス / 大腸癌 / 肝転移 |
研究概要 |
1. Fasリガンド発現大腸癌細胞(MCA38-FasL)の肝転移能の検討:C57BL/6マウス由来大腸癌細胞であるMACA38細胞株にFasリガンド遺伝子を導入して作製したFasリガンド発現細胞(MACA38-FasL)を同系のマウスの門脈に静脈注射した。コントロールには、MCA38-MockおよびMCA38親株を用い、肝転移形成を肝重量の測定により判定した。これら3種の大腸癌細胞株はin vitroにおいて増殖能に差を認めず、Fasリガンド遺伝子の発現によりin vitorにおける細胞の増殖は影響を受けないことが明らかとなった。これらの細胞株10^6個をC57BL/Cマウスの門脈に注射し、2週目後に解剖すると、MCA38親株やMCA38-Mockでは明らかな肝転移の形成が見られず、マウスの肝重量にも増加は見られなかった。これに対し、Fasリガンドを発現するMCA38-FasLを門脈に静注したマウスでは肝臓全体に大きな転移巣を形成し、転移巣のため肝重量は有意に増加した。また、細胞の数を10^5個に減らし、5週目後に解剖した結果でもMCA38-FasL門脈静注群では転移巣のため肝重量は有意に増加した。 2. 肝転移巣における肝細胞アポトーシスの検討:肝細胞のアポトーシスがFasリガンド発現大腸癌細胞によりin vivoで起こりうるか否かを明らかにするため、10^6個のMCA38-FasLをC57BL/6マウスの門脈に注射し、その後7日間連日肝を摘出、TUNEL染色法で肝細胞のアポトーシスを組織学的に検出した。その結果、MCA38-FasLの微小肝転移巣に隣接する肝実質細胞がTUNEL染色で陽性となった。すなわち、Fasリガンドを発現するMCA38-FasLは肝実質細胞のアポトーシスをin vivoで惹起することが明らかとなった。
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