研究課題/領域番号 |
14570511
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
高橋 弘 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (50206843)
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研究分担者 |
成相 孝一 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60297413)
並木 禎尚 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (00338930)
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キーワード | Fasリガンド / アポトーシス / 大腸癌 / 肝転移 |
研究概要 |
門脈より肝実質に侵入した大腸癌細胞が転移巣を形成するには、何らかの方法で肝細胞を破壊し、増殖の場を獲得する必要があると考えられる。しかし、大腸癌が肝細胞を破壊し、肝実質に生着する機序は明らかでない。我々は大腸癌の肝転移巣が原発巣や正常組織に比較してFasリガンドを強く発現することおよび大腸癌細胞が発現するFasリガンドがFas抗原陽性細胞(JURAKAT T細胞)のアポトーシスを惹起することを明らかにした。一方、肝細胞はFas抗原を発現し、Fasリガンドによりアポトーシスを起こす事が報告されている。 本研究ではFasリガンドを発現する癌細胞が肝細胞のアポトーシスを惹起するか否かを検討し、大腸癌肝転移の成立におけるFas/Fasリガンドシステムの役割を明らかにした。 すなわち、ヒト大腸癌、特に、大腸癌の肝転移組織ではFasリガンドを強く発現することが明らかにした。また、co-culture実験によりFas抗原陽性T細胞が大腸癌細胞のFasリガンドによりアポトーシスを起こすことを示した。一方、肝細胞はFas抗原を発現し、Fasリガンドに対して感受性を持つことが知られている。そのため、Fasリガンドの発現は、大腸癌の転移標的臓器である肝細胞のアポトーシスを起こし、大腸癌細胞の生着と転移に重要な役割を果たしていると考えられる。本研究により大腸癌の肝転移巣におけるFasリガンドの発現により肝細胞のアポトーシスの活性化が起こり、その結果、大腸癌細胞の肝実質への生着と増殖が促進されることが示された。
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