本研究は原発性胆汁性肝硬変(PBC)における1)胆管抗原提示樹状細胞による自己反応性T細胞活性化、2)免疫調節性細胞による病態制御、3)炎症性サイトカイン投与による肝内免疫環境変化誘導と病態との関連についてPBCモデル作製とその病態解析を介して解析した。 <平成14年度> 胆管細胞関連抗原提示樹状細胞群を用いPBCモデルを作製を試みた。マウス骨髄細胞を分離して得た成熟DCにPDC-E2ペプチドをパルス後マウスに皮下投与し、胆管病変誘導を組織学的に検討した。この方法では胆管細胞障害を誘導できなかったが、胆管細胞とDCの融合細胞投与により軽度の胆管障害を誘導できた。 <平成15年度> 胆管細胞とDCの融合細胞投与により作製したPBCモデルにおいて、肝内浸潤IL-10、TGF-β産生CD4 Tr細胞の動態はDC投与前後で変化なかった。in vitroでDCと混合培養した肝内CD4陽性細胞のIL-10、TGF-β産生動態の変化は認めずDCによるTr細胞機能変化はなかった。さらに肝内CD25、CD4陽性調節性T細胞はDC投与によりわずかに減少したがサイトカイン産生プロフィールは変化なかった。またIFN-γ、IL-12投与、非投与SCIDマウスにDCを投与した同系マウス脾T細胞をアイソトープラベルし投与し、肝内T細胞集積の程度をオートラジオグラフィーにより解析したところ、投与マウスでは非投与マウスに比し肝内へのT細胞集積が増強する傾向を認めた。IFN-γ、IL-12投与マウス類洞内皮細胞のICAM-1、VCAM-1、VAP-1発現、胆管細胞のMHC class I、II、CD80、CD86、CD40等の機能分子発現はサイトカイン投与により発現増強が認められた。 <平成16年度> PBCモデルにおける自己抗体認識抗原、CTL認識抗原の同定を試みたが、同定できなかった。
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