研究概要 |
C型肝炎ウイルス(HCV)は、その構造、特徴、診断法に関しては明らかとなってきたが、その進行、治療に係わる生体側因子の検討は不充分である。まずは、我々は、肝臓の炎症に係わる炎症性サイトカインであるTNF-alpha, TNF-betaの産生に係わる遺伝子多様性、HLA-DRB1ハプロタイプを検討した。その結果、TNF-betaのfirst intron Nco1 polymorphism siteのGenotypeが、B1/B1の保有者に有意にC型肝炎の無症候キャリアーが多く、HLA-DRB1のハプロタイプでは、*0901の保有者にC型肝炎の無症候キャリアーが多いことを明らかにした。またその両者の組み合わせにより、さらにC型肝炎の進行性との関係が示された。また、炎症に抑制的に働くサイトカインであるIL-10の遺伝子多様性とC型肝炎の関係に関して検討したところ、promoter region position-592,-819,-1082がATA/ATAの保有率が、肝臓癌で多く、またインタフェロン+リバビリンの併用療法を施行した患者のうちATA/ATAの保有者は、無効例が多かった。今後は、インタフェロン+リバビリンの作用機序とIL-10の遺伝子多様性との関係を明らかにしてゆきたい。
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