Hepsinは膜に存在するタイプIIのセリンプロテアーゼである。細胞培養実験においてhepsinは細胞成長増殖や細胞形態維持に不可欠な役割を担っていることが明らかにされた。しかし興味深いことにhepsinのノックアウトマウスにおいてphenotypeの明らかな差を認めず、少なくとも生後初期においての各器官の形態成長には重要な役割を担っていない可能性が考えられた。そこでhepsinの肝臓での機能について詳細に観察するため、CCl4腹腔内投与、70%肝部分切除後のhepsinの発現を観察した。急性肝障害、肝再生の初期において、hepsinのmRNAレベルは低下した。LECラットにおいても、急性肝炎時には同様にhepsinの発現が低下した。また、LECラットにおいて前癌状態の方が癌部よりもむしろ発現が上昇していた。
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