【目的】腫瘍浸潤リンパ球(TIL)由来の細胞傷害性T細胞(CTL)株が認識する分子群が機能分類上どの様な分子種を認識しているのかを探索する。 【実験成績および考察】大腸癌TILから樹立したOK-CTL株が認識する遺伝子群74種類を単離・解析した。その結果、(a)重複遺伝子6種類、断片遺伝子41種類で、既知タンパク質もしくはその断片、あるいは機能モチーフを有する未知遺伝子27種類を選別した。(b)TILが特異的に認識する事が証明されたペプチドをコードする遺伝子の機能を各種データベース検索による推定し、免疫系が生体で認識している自己抗原の機能別分類を行ったところ、細胞増殖に関与または増殖の結果発現が亢進および分子の運搬に関与する分子が多いことがわかった。(c)上記遺伝子がコードするタンパク質のアミノ酸配列から、HLA-A2結合モチーフを持った9-10残基のオリゴペプチド配列を393種類委託合成し、HLA-A2をもったT2細胞株にペプチドを感作して標的細胞としてOK-CTLがペプチドの濃度依存性に認識した68種類のペプチドを選別した。(d)68種類のペプチドのうち、26種類は、IL2で増殖させた患者末梢血リンパ球により認識されることが確認された。(e)そのうちの16種類は、試験管内での患者末梢血からのCTL誘導能が確認された。(f)27種類のうちHLA-B46拘束性に2種類、HLA-A31拘束性に4種類の遺伝子産物が認識され、またこれらの遺伝子産物がコードするCTL誘導能を有するペプチドをそれぞれ5種類および7種類同定した。 【結語】TIL由来のCTL株が認識する分子群は、細胞増殖に関与または増殖の結果発現が亢進する自己抗原遺伝子が多く、次に分子の運搬に関与する分子が多いことがわかった。
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