研究課題/領域番号 |
14570531
|
研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
脇田 隆字 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (40280789)
|
研究分担者 |
保井 孝太郎 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 参事研究員 (90073080)
宮本 道子 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (40190821)
加藤 孝宣 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科・共同研究教育センター, 助手 (20333370)
|
キーワード | HCV / 肝発癌 / トランスジェニックマウス |
研究概要 |
HCVの感染は高率に慢性化し、慢性肝炎から肝硬変、肝臓癌へ10〜30年かけて進行する。ウイルス感染のない自己免疫性肝炎ではウイルス性肝炎に比べ肝発癌が少ないことないことから、肝炎ウイルス自体が発癌に重要である。さらに慢性肝障害では肝細胞破壊と肝再生の促進により、肝細胞が高癌化状態にあると考えられる。つまり、HCVによる肝発癌はウイルス側の因子と慢性持続性炎症による要因が相乗的に作用していると考えた。本研究ではHCV遺伝子を肝臓特異的に発現するTgマウスに慢性肝障害を導入してHCVによる肝発癌モデルの構築を試みた。TgマウスにはCre/loxPによるスイッチング発現システムによるHCVTgマウスと、肝臓特異的なSAPプロモーターによりHCVコアTgマウスを用いた。炎症の導入にはHCV特異的免疫細胞の移入と非特異的肝障害を用いた。DNA免疫法あるいは組み換えアデノウイルスにより誘導したHCV特異的細胞障害性T細胞(CTL)をHCV発現Tgマウスに移入することにより肝炎を発症させることができた。また、DENおよび四塩化炭素などを反復投与することにより非特異的な慢性肝障害を誘導することができた。Tgマウスの肝臓に炎症の無い状態では肝腫瘍の癌化は自然経過ではほとんどおこらなかった。しかし、非特異的な慢性肝障害を誘導した状態ではマウスの肝臓にアデノーマおよび肝細胞癌が発生することを観察した。さらにこれらの肝腫瘍の発生はTgマウスにより多くみられた。慢性肝障害の状態では、肝細胞の遺伝子障害が増加したり、肝再生が促進されさまざまな癌遺伝子が活性化されて、肝炎ウイルスによる発癌がおこりやすい状態になると考えられた。このモデルでHCVの発癌に関与するウイルス因子と細胞内の因子をさらに探索していく予定である。
|