研究概要 |
1.特発性肺線維症患者の外科的肺生検標本から連続組織切片を作成し、抗CD34抗体と抗vWF抗体による2重免疫組織染色にelastica-Masson染色の重染色をしたうえで、肺線維化に伴う肺胞毛細血管の構築変化を、3次元コンピューター画像解析装置によって立体再構築したうえで解析をおこなった。この結果、肺胞毛細血管は線維化病変においてCD34産生能を失いvWF陽性となり、肺静脈へ連結することを確認した。線維化していない肺胞毛細血管の増殖は核内のKi67陽性を証明することによってさらに確実化した(Am J Respir Med Crit Care Med, in press)。 2.マウス・ブレオマイシン肺における骨髄由来幹細胞による肺組織修復を、GFPトランスジェニックマウスからの骨髄移植をした上で観察した、その結果、肺胞細胞に加えて肺胞毛細血管にも骨髄由来細胞が存在することを、蛍光免疫染色を用いることによって示した。smooth muscle antibodyを産生するGFP陽性肺線維芽細胞は示されなかった。 3.MAA-PEIを用いたHGF遺伝子導入によって、導入遺伝子が肺胞上皮細胞と肺胞毛細血管に効果的に発現していることを示し、また、ブレオマイシン肺傷害後の線維化を効果的に抑制することを示した。その直接的な効果としては、抗アポトーシス作用によるもので、その結果、アポトーシスから誘導される炎症、さらに線維化過程を効果的に抑制していることを示した。 4.MAA-PEIを用いたHGF遺伝子導入による骨髄由来幹細胞への影響を観察した。その結果、HGFによる抗アポトーシス作用によって、骨髄由来幹細胞による組織修復が著明に抑制されることを示した。(2-4に関して投稿中) 5.CD40-CD40Lのブレオマイシン肺における線維化への直接の影響は証明されなかった。
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