研究概要 |
平成15年度は,ゲフィチニブの作用機序,およびFDG-pETスキャンを用いたゲフィチニブの治療効果判定について以下の成果を得た. 1)前年度の研究から引き続き,肺癌細胞株における,ゲフィチニブ単剤,タモキシフェン単剤,ゲフィチニブとタモキシフェンの同時併用での抗腫瘍効果の検討を行った.タモキシフェン単剤ではいずれの細胞株においても抗腫瘍効果は認められず,ゲフィチニブ+タモキシフェンでも抗腫瘍効果の相加作用は認められなかった.しかし培地中のestradiol濃度を増加させることにより,感受性株(PC-9)では変化が認められなかったが,低感受性株(A549)ではゲフィチニブの抗腫瘍効果の増加傾向を認めた.これらの結果より一部の肺癌細胞ではestradiolがゲフィチニブの感受性に関与している可能性が示唆された. 2)FDG-PETスキャンを用いてゲフィチニブの治療効果判定を行い,その有用性について検討した.対象となった12例中3例(25%)において,CTではSDであったがPETスキャンではPRと判定された.CT,PETスキャンともにPRと判定された症例においても,PETスキャン上の効果発現がより早期に認められる傾向があった.以上より,FDG-PETスキャンを用いたゲフィチニブの効果判定は,従来の画像診断法に比べてより精確な評価が可能であった.このことより,分子標的治療薬の開発において,FDG-PETスキャンを用いた効果判定が,有用なツールの一つとなる可能性が示唆された.
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