研究課題/領域番号 |
14570547
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
花岡 正幸 信州大学, 医学部附属病院, 助手 (20334899)
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研究分担者 |
藤本 圭作 信州大学, 医学部, 助教授 (70242691)
本田 孝行 信州大学, 医学部, 助教授 (80238815)
久保 惠嗣 信州大学, 医学部, 教授 (80143965)
小泉 知展 信州大学, 医学部, 講師 (20273097)
太田 正穂 信州大学, 医学部, 講師 (50115333)
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キーワード | 高地肺水腫 / VEGF / 気管支肺胞洗浄 / 免疫染色 / アンギオテンシン変換酵素 / 遺伝子多型 / 肺高血圧 / 高地順応 |
研究概要 |
1、高地肺水腫患者のvascular endothelial growth factor (VEGF)について VEGFは血管透過性亢進因子であり、低酸素環境下でその発現が増強する。高地脳浮腫の発症にVEGFの関与が指摘されている。また、過剰なVEGFは肺水腫を惹起する。そこで高地肺水腫患者の末梢血中および気管支肺胞洗浄液中のVEGF濃度を測定した。その結果、入院時のVEGF濃度は末梢血中で健常者と同程度であったが、気管支肺胞洗浄液中では有意な低値を示した。一方、回復時には血中VEGF濃度の有意な上昇を認めた。さらに、高地肺水腫剖検肺の免疫染色でVEGFは陰性であった。以上から、VEGFは高地肺水腫の発症と進展ではなく、その回復期において障害された血管内皮細胞の修復に役割を果たしている可能性が示唆された。 2、高地肺水腫既往者におけるアンギオテンシン変換酵素(angiotensin converting enzyme ; ACE)遺伝子多型について 低酸素性肺血管収縮に基づく肺高血圧は、高地肺水腫の病態の中核をなす。ACE阻害剤はこの低酸素性肺高血圧を改善させる。近年、ACE遺伝子が高地住民や高所登山家の高地順応の程度を規定する可能性が報告された。そこで高地肺水腫既往者と健常登山家において、挿入(insertion ; I)・欠失(deletion ; D)多型を調査した。その結果、高地肺水腫既往者はDD genotypeが多く(p=0.0176)、D allele (p=0.0051)が有意に発現していた。ACE遺伝子の変異は高地環境におけるACEの産生増加をもたらし、より高度な肺高血圧を惹起すると考えられた。また、ACE遺伝子多型は高地肺水腫の重要なマーカーとなる可能性が示唆された。
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