研究課題/領域番号 |
14570549
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
立花 功 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (60324761)
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研究分担者 |
合屋 将 大阪大学, 医学部附属病院, 医員(臨床研究)
大崎 匡 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (50324778)
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キーワード | セマフォリン / CD100 / Sema4D / ノックアウトマウス / アレルギー性気道炎症 / 気道過敏性 / Th2反応 / 免疫寛容 |
研究概要 |
免疫システムにおいて機能することが最初に明らかになったセマフォリンCD100(Sema4D)の、アレルギー性気道炎症における役割を明らかにする目的で、CD100欠損マウスを用いてニワトリ卵白アルブミン(OVA)による気管支喘息モデルを作製し、種々の解析を行った。CD100欠損マウスでは、抗原特異的なTh2細胞の誘導が障害されているにも関わらず、野生型マウスに比べて気道への好酸球を中心とした炎症細胞の浸潤が増強しており、その結果としてメサコリンに対する気道過敏性も亢進していた。この逆説的な気道炎症増強の一因として、CD100欠損マウスにおける抗原特異的IgEの産生の増強が挙げられる。CD100欠損マウスにおいて、感作後4週後では抗原特異的IgEの産生は野生型マウスより低下していたが、抗原の吸入を重ねるうちに増強し、野生型を上回るようになった。その理由として、CD100が欠損すると抗体産生が障害されるが、抗原曝露が遷延した場合に、野生型マウスでは誘導される、過剰な抗体産生を抑制しようとする調節機構も機能しないことが考えられた。 CD100欠損マウスにおける調節機構の障害は、免疫寛容の誘導能の低下によっても示される。抗原による感作に先立ち、その抗原を気道粘膜に曝露させておくと、全身性の感作が成立しにくくなることが知られている(nasal tolerance)が、CD100欠損マウスではこの現象が起こらない。すなわち、本来病原性のない抗原に対して免疫寛容を誘導し、不要な炎症から生体を防御する機構が、CD100欠損マウスにおいて障害されていると考えられる。 これらの結果より、CD100/Sema4Dは抗原特異的な免疫応答を増強すると同時に、そうした反応が過剰になることを防ぐ機構にも関与し、免疫学的な恒常性の維持に重要な役割を果たすことが示唆された。
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