研究課題/領域番号 |
14570552
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
濱田 泰伸 愛媛大学, 医学部附属病院, 助手 (80314954)
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研究分担者 |
大島 美紀 愛媛大学, 医学部, 助手 (90363225)
横山 彰仁 広島大学, 医学部, 講師 (30191513)
仲 哲治 大阪大学, 医学部, 助手 (30303936)
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キーワード | 肺癌 / STAT3 / SOCS-1 / 悪性胸膜中皮腫 |
研究概要 |
JAKs/STAT系,特にSTAT3の異常な活性化が悪性腫瘍の増殖に関連していることが報告されている。肝細胞癌における報告では、抑制性転写因子suppressor of cytokine signaling-1(SOCS-1)遺伝子のCpG領域のmethylationのためにSOCS-1の発現低下が起こり、結果としてSTAT3が活性化される可能性が示唆されている。つまり癌におけるSTAT3の活性化にはSOCS-1の発現低下が関与している可能性がある。昨年までの研究では(1)我々が樹立した肺悪性腫瘍細胞株のうち、いくつかの細胞株では対数増殖期にSTAT3のリン酸化を認め、JAKs阻害薬の添加によりSTAT3の発現および細胞増殖が抑制されること、(2)STAT3のリン酸化を認めた細胞株ではリン酸化を認めない細胞株と比較してSOCS-1mRNAの発現が低下していること、(3)SOCS-1mRNA発現が低下したいくつかの細胞株でSOCS-1遺伝子のCpG領域のmethylationを認めること、(4)SOCS-1の発現が低下した肺悪性腫瘍細胞株にアデノウイルスベクターを用いてSOCS-1遺伝子の導入を行うことにより細胞増殖が抑制されることを明らかにした。 本年度は以下を目的として研究を行った。(1)SOCS-1mRNAの発現低下を認めない肺悪性腫瘍細胞株に、アデノウイルスベクターを用いてSOCS-1遺伝子の導入を行った場合には、細胞増殖の抑制がおこらないことを確認する。(2)SOCS-1遺伝子の導入により、JAKs/STAT3の活性化の抑制および細胞増殖の抑制を認めた細胞株を免疫不全マウスに移植し、形成された腫瘍組織に対して、経皮的にSOCS-1遺伝子の導入を行い腫瘍組織の増大の抑制および縮小効果につき検討を行う。 SOCS-1mRNAの発現低下を認めない肺悪性腫瘍細胞株に、アデノウイルスベクターを用いてSOCS-1遺伝子の導入を行った場合には、細胞増殖は抑制されなかった。一方、免疫不全マウスへの腫瘍の移植は難しく、in vivoでのSOCS-1遺伝子導入実験はできなかったが、本研究はSOCS-1遺伝子を用いた肺悪性腫瘍の遺伝子治療の可能性を示唆する重要な研究と思われた。
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