研究概要 |
インフルエンザ菌(non-typable H.influenzae:(NTHi)の外膜蛋白質(OMP)をNTHi由来のOMPをBALB/cマウスに経気管的に1週間おきに3回反復接種し、その後の肺所属リンパ節への成熟樹状細胞(DC)のは初回接種後24時間後にピークとなり、その後7日後まで漸減した。肺所属リンパ節のSLC, ELC, CCR7の遺伝子発現の検討では、SLCおよびELCの遺伝子発現は変化が認められなかったのに対し、CCR7遺伝子は接種7日後に一過性に発現低下を認め、接種21日後には正常に復した。さらに、OMP接種後のマウス肺所属リンパ節細胞を用いてP6蛋白質特異的かつ濃度依存的な細胞増殖を確認した。この結果から、肺所属リンパ節内でのP6蛋白質特異的なDCとT細胞間の応答が示唆された。さらに、OMP気管内接種後のP6蛋白質特異的な抗体産生細胞と血漿中特異抗体産生について、血漿中のP6蛋白質特異的lgG, lgM抗体産生と脾臓の抗体産生細胞の動態は一致していた。接種21日後にはBAL液中のP6蛋白質特異的lgA抗体の出現を認めたが、脾臓細胞中にはP6蛋白質特異的lgA抗体産生細胞の増加は認められなかった。一方、肺組織の検討ではOMP接種21日後には気道粘膜下組織に単核細胞浸潤が認められ、methylgree pyronin染色にて同部における形質細胞の増殖も確認された。本研究においてOMPの気管内接種後の肺所属リンパ節への成熟DC遊走とその後の肺および全身における獲得免疫誘導の連携が示された。
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