ヒト気管支上皮内リンパ球と上皮下リンパ球の特性についての研究 ヒト気管支上皮内リンパ球は、上皮下リンパ球と比較して、活性化リンパ球は少ないが、CD103 (αeβ7 integrin)が強く発現する事を確認した。そこで、手術で得られたヒト気管支組織をリンパ球の表面マーカー:CD3、CD4、CD8、TCR-αβ、TCR-γδ、CD45RA、CD45RO、CD35、CD103、CD28、CD62L、CD49d、CD11aで組織染色し、その機能について正常な気道組織と喘息気道組織において比較検討した。正常気管支上皮内では粘膜下組織と比較して、CD8陽性細胞が多くCD4細胞が少なかった。そしてCD103上皮内に多かった。喘息患者の気道組織では、この傾向がさらに強くなっていた。正常気管支のリンパ球のサイトカイン産生能をELISPOT法にて測定すると、IFN-産生細胞数/IL-4産生細胞数の比率は上皮内リンパ球の方が粘膜下リンパ球より高い事を確認した。 SCIDマウスにおける移植ヒト気管支組織へのアトピー型喘息患者のPBMCの浸潤の研究 アトピー型喘息患者のPBMCをSCIDマウスの腹腔内に移注して移植ヒト気管支組織に喘息患者のPBMCが浸潤することを現在確認した。喘息患者のPBMCを移注した群では、CD3陽性細胞が有意に増加し、その中でCD4陽性細胞数が有意に多かった。さらに、気道に遊走したリンパ球の中では接着分子であるCD103 (αeβ7 integrin)陽性細胞およびCD45ROが有意に増加していた。喘息患者のPBMCを移注した群のヒト気管支組織では、IL-4およびIL-5のmRNAの有意な増加が認められ、Th2系のリンパ球が浸潤していることが示唆された。 以上の結果から、喘息患者のリンパ球は気道組織に遊走する機能を獲得している可能性が示された。
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