研究概要 |
1.吸入用β_2刺激薬の慢性暴露:SPF-SDラットをFlow-throughチェンバー内で飼育し,超音波ネブライザーを用いてサルブタモール(0.8,8,80μg)あるいは生理食塩水を毎日20分間,6週間まで吸入させた. 2.気管粘膜の形態計測とDNA合成の評価:サルブタモール吸入群では,生理食塩水吸入群に比較して,気道粘膜の基底膜直上から上皮細胞遊離縁までの距離(epithelial layer thickness)および基底膜100μmあたりの上皮細胞数が時間依存的,用量依存的に増加した.また,気道粘膜層におけるBrdUの細胞内への取り込みも増加し,DNA合成の亢進が示唆された.これらの形態変化およびDNA合成は,EGFRのチオシンリン酸化の特異的阻害薬であるAG1478の前投与によりほぼ完全に抑制され,上記のサルブタモールの効果におけるEGFR活性化の役割が明らかとなった. 3.リン酸化EGFRの遺伝子および蛋白発現(In vivo):上記のサルブタモールの効果が実際にEGFRのリン酸化を介しているかを確認する目的で,in situ hybridizationを用い,気管粘膜上皮層におけるリン酸化EGFR mRNAの発現を,またリン酸化EGFRのモノクローナル抗体を用いて免疫組織化学を行い,タンパク質レベルでの発現も検討した.その結果,サルブタモール吸入群では,気道上皮細胞でリン酸化EGFR mRNAが観察され,さらにEGFR様免疫活性の発現も認められた.
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