研究概要 |
1.気管支培養細胞の増殖反応(I vitro):ヒト気管支上皮の細胞株(16-HBE細胞)を種々の濃度のサルブタモールの存在下で最長72時間まで培養し,タンパク合成とDNA合成を測定した.その結果,刺激群では[3H]-thymidineと[3H]-leucineの取り込みがいずれも著明に増加した.また,これらの反応は選択的β受容体ブロッカー(ICI-118551)の添加により消失した. 2.ERKの活性化の評価(In vitro):ERKの活性化を,免疫細胞化学とWestern blotにて評価したところ,サルブタモール群ではリン酸化ERK(活性型)の蛋白発現が誘導され,またNorthern blotにおいてはリン酸化ERKmRNAの発現が観察された.この結果は,培養上清中のERK活性の測定によっても確認された. 3.アダプター分子の会合(In vitro):EGFRとGrb2関連タンパクのイムノブロット解析を行い,サルブタモール刺激によるEGFRおよびShcの発現が認められた.また,その効果は[GlU52]Diphtheria toxinにより抑制されたこと。より,アダプター分子の会合におけるHB-EGFの関与が示唆された. 4.HB-EGFのsheddingとmetalloproteinase(Invitro) 上記の仮説をさらに検証するため,ERKリン酸化に対する[Glu52]Diphtheria toxinの効果を検討した.その結果,本ブロッカーはサルブタモールによるリン酸化ERKの発現を強力に抑制した.また,サルブタモールは細胞上清中のmetalloproteinase活性を上昇させ,土その効果は1,10-phenanthrolineによって消失した.
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