研究課題
基盤研究(C)
本研究は、初年度喫煙刺激が気道上皮細胞のp38 MAPKを介してMMP-9発現を誘導することを明らかにした。この成績以外にp38 MAPKの上流のASK1が喫煙刺激で活性化されることを乱しており、酸化ストレス応答性シグナルのASK1の機能解析に焦点を絞り、次年度の計画を立案した。この年度は、酸化ストレスの一般的な刺激である過酸化水素で気道上皮細胞を刺激し、気道上皮細胞の細胞死における細胞内シグナル分子機能の解析を行った。過酸化水素による細胞死は、過酸化水素-ASK1-caspase3を介することが明らかになり、すでに報告したnitorogen oxide-ASK1-AP-1の成績、未発表のLPS-ASK1-IL-8発現の成績、などを合わせて考察すると、気道上皮細胞の酸化ストレス応答性キナーゼであるASK1の機能の多様性が明らかになった。このように気道上皮細胞におけるASK1機能が多彩であることから、最終年度は気道の他の細胞でのASK1の機能解析を行うこととした。その結果、気道平滑筋においてAASK1はLTD4刺激によるAP-1【reverse right half-bracket】活性化を制御することが明らかとなった。以上、気道環境におけるMAPK、そしてASK1の機能の一端が明らかにされ、今後、さらに様々な細胞における詳細なASK1機能の解析とASK1ノックアウトマウスでのASK1機能解析が行われること二よって、COPDや気管支喘息の病態形成の機序の一端が明らかにされてゆくと思われる。
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