特発性肺線維症における発癌メカニズムとその制御

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14570570
• 研究機関: 日本医科大学
• 研究代表者: 工藤 翔二 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40256912)
• 研究分担者: 弦間 昭彦 日本医科大学, 医学部, 講師 (20234651) ; 吉村 明修 日本医科大学, 医学部, 講師 (00230805)
• キーワード: 肺線維症 / 発癌 / cDNA array / Smad4 / 転写異常

研究概要

特発性肺線維症における発癌メカニズムを解明しその制御を図ることはこの疾患の診療に大きな意義を持つと考えている。特発性肺線維症に存在する病変が腫瘍性性格を獲得する過程を理解するためには、それら病変の遺伝子あるいはその発現変化を総合的に把握することが必要であると考え、病変の網羅的遺伝子異常解析および発現解析を行うことを企画した。まず、発現解析について、cDNA arrayを用いて、数例の正常上皮、線維症肺組織、腫瘍組織の発現プロファイルを解析し、発現異常を認める遺伝子のスクリーニングを行った。腫瘍において、発現異常のある遺伝子は数個単離され、Real time RT-PCR等により、この発現異常を確認した。後に、症例を増やすとともに、肺線維症を伴わないと考えられる肺癌細胞株の発現と比較し、肺線維症合併肺癌に特徴的な因子を選択した。最も高頻度に発現低下を認めたSmad4について、発現低下メカニズムを検討するため、そのものやシグナル伝達経路のメンバーなどの遺伝子異常及び転写関連メカニズムを解析した。Smad4やシグナル伝達経路のメンバーなどの遺伝子異常は認められなかったが、転写メカニズムの異常を認め、この機能解析も終了した。

研究成果

• [文献書誌] Xue Jun H: "Reduced transcription of the RB2/p130 gene in human lung cancer."Mol Carcinog.. 38(3). 124-129 (2003)
• [文献書誌] Hosomi Y: "Somatic mutation of the Caspase-5 gene in human lung cancer."Int J Mol Med.. 12(4). 443-446 (2003)
• [文献書誌] Seike M: "Proteomic analysis of intestinal epithelial cells expressing stabilized beta-catenin."Cancer Res.. 63(15). 4641-4647 (2003)
• [文献書誌] Yoshimura A: "Increased expression of the LGALS3 (galectin 3) gene in human non-small-cell lung cancer."Genes Chromosomes Cancer. 37(2). 159-164 (2003)
• [文献書誌] Enomoto T: "Diabetes mellitus may increase risk for idiopathic pulmonary fibrosis."Chest. 123(6). 2007-2011 (2003)
• [文献書誌] Hiramatsu K: "Inhalation of diesel exhaust for three months affects major cytokine expression and induces bronchus-associated lymphoid tissue formation in murine lungs."Exp Lung Res.. 29(8). 607-622 (2003)