研究概要 |
目的 咳喘息(CVA)と喉頭アレルギー(LA)において、上気道における肥満細胞が病態にどのようにかかわっているかを検討するために、下気道の肥満細胞の浸潤について検討を行った。 方法 喘息発作の既往のない慢性咳嗽患者10名にメサコリン吸入テスト、血中IgE、好酸球測定をおこなった。PC_<20>-Mch1000ガンマ以下の場合、気道過敏性を有するとしCVAと診断した。LAは「喉頭アレルギー研究会の提唱する診断基準」に基づき診断した。その結果CVA11名(男性5名、女性6名、平均年齢45.1±16.3歳)、LA16名(男性5名、女性11名平均年齢46.5±18.0歳)であった。型のごとく麻酔を行った後気管支鏡を挿入し、気管膜様部、気管分岐部、2次気管分岐部より標本を採取しホルマリン固定後トリプターゼ染色をおこなった。各組織標本は顕微鏡下にデジタル画像として取り込み、粘膜単位面積あたりの肥満細胞の数を計測した。 結果 CVA, LAともに3つの採取部位における肥満細胞数に差はなかった。CVAとLAとの比較においては、気管膜様部の肥満細胞数が、CVAにおいて有意に増加していた。 考察 気管膜様部には平滑筋が分布しており、CVAにおいてはその部位で肥満細胞がLAに比して増加していることは、気道過敏性の発現に、平滑筋と肥満細胞が関連していることをうかがわせた。
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