研究概要 |
我々は日本で開発された抗けいれん薬Zonisamide(1,2-benzisoxazole-3-methane-sulfonamide)がパーキンソン病に対し、顕著な症状改善作用があることを見い出し(Neurosci Res.2001:41:397-399)、この作用機序を明らかにしつつある。我々は今年度の研究でZonisamideが1)ドパミン合成の律速酵素であるtyrosine hydroxylasc (TH) mRNAの合成亢進を介してドパミン合成を亢進させている。2)ドパミン代謝の主な酵素であるMAOB (monoamine oxydase B)に対して軽度の阻害作用をもつ(IC50:28μM)3)Dopamine transporter (DAT),ドパミン受容体(D1-05)に対する親和性はない。4)ドパミン系以外で抗パーキンソン病薬の作用点として想定されている、グルタミン酸受容体(NMDA, AMPA, kinate),セロトニン受容体(5HT1-7),アデノシン受容体(A1, A2A, A2B)に対しても明らかな親和性を示さない、ことを明らかにした。以上より、現時点ではzonisamideの抗パーキンソン作用はドパミン合成亢進および軽度のMAOB阻害作用を主体としていると考えられる。ZonisamideはT型Caチャンネル阻害作用を持つが、T型Caチャンネル阻害剤が黒質ドパミン細胞のバースト発火を増加させるという報告(Wolfalt & Roeper,2002)があり、ドパミン合成亢進及び抗パーキンソン効果発現に関与している可能性について現在検討中である。
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