研究概要 |
RNAを配列特異的に切断する方法として最近short interference RNA(siRNA)が開発されたため、SOD1 mRNAに対するsiRNAを作製してリボザイム、カタリチックDNAとその効果について比較検討した。 野生型およびG93A SO1mRNAの2次構造の解析から数カ所に19mer RNAとTTの3'overhangからなるsiRNAをデザィインした。HEK293TおよびN2a培養細胞にsiRNAとSOD1発現ベクターと共発現させて、有効なsiRNA配列をスクリーニングした。SOD1mRNAの2次構造上もっとも大きな1本鎖のループ構造をとる部分にin vitroでは90%以上の切断活性のあるribozymeとDNA enzymeを作成した。siRNAは培養細胞の内因性SOD1タンパクを配列特異的に認識して、有効にタンパクの発現を抑制し、その抑制効率はリボザイム、カタリチックDNAよりはるかに高かった。 点変異を認識するために5'側から9-13塩基に変異をデザインするとその区別が可能になることを発見し、培養細胞上で野生型mRNAにはほとんど影響せずに、変異mRNAを特異的に発現抑制するsiRNAのデザインに成功した。 加えて、有効なsiRNA配列をtRNA promotor, U6 promotor,独自のtandem型,stem型の各種デザインした発現型DNAベクターで構築し、その有効性を比較検討した。その結果、U6 promotor下のstem型の発現型siRNA vectorが最も有効であった。 さらに作製したsiRNA配列をアデノウイルス及びアデノ随伴ウイルスベクターに組み込んで培養細胞内で有効に内因性SOD1タンパクの発現を抑制することに成功した。 SiRNAによる核酸試薬を用いた変異SOD1によるALSの遺伝子治療はその第1段階を完了したというよう。
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