| 研究概要 |
傍腫瘍性神経症候群は臨床症状のみでの診断は困難であり,特異的抗体の検出が有用である。このうち,抗Hu抗体,抗Yo抗体,抗voltage-gated calcium channel抗体は出現頻度が高いものであるが,このほか対応抗原の分子特性が明らかになっているものとして抗CRMP-5/Ma-2/Ri抗体,抗amphiphysin/glutamate receptor/recoverin抗体などが知られている。これらの抗体の特異的診断には,抗体認識部位のアミノ酸配列を含むリコンビナント抗原蛋白との反応を確認する必要があるため,我々は既作成のYoおよびHu蛋白に加え,新たにCRMP-5/Ri/Ma-2/glutamate receptor/amphiphysinについて各cDNAを作成し,融合蛋白を作ってWestern blotおよびELISAにて特異抗体の検出を可能にした。その結果1500検体中,抗Yo抗体は23例,抗Hu抗体は35例の頻度で検出された。抗Ri/Ma-2/CRMP-5抗体の頻度については現在解析を進めている。
これ以外にwestern blotおよび免疫組織染色パターンから,抗amphiphysin抗体陽性の乳癌を背景にしたlimbic encephalitis,抗glutamate receptor抗体陽性のstiff-person症例,抗recoverin抗体を有するcancer-associated retiopathyを診断した。さらに従来の神経組織でのwestern blot/immunohistochemistryと併用し,一定の特徴を有する抗体については対応抗原を同定する準備を進めており,今後さらに多数の抗体の特異的検出が可能になり,本症診断への寄与が拡大できると考えている
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