研究概要 |
昨年度に引き続き,傍腫瘍性神経症候群を特異的かつ早期に正確な診断を可能にする目的で,関連抗原のcDNAから抗体認識部位に対応する融合蛋白を作製した。Hu抗原,Yo抗原に加えNova-1,collapsin response mediator protein-5,Ma-2,amphiphysin抗原を作製した。これにより,本症の診断能力が格段に広がったとともに,これまで全国諸施設から抗体診断のために寄せられた血清約3000例を網羅的に解析することにより,本邦での各抗体の保有頻度を明らかにすることが可能になった。 一方,本症の病態機序解明のため,腫瘍および罹患神経組織を共通に認識するT細胞に,抗原特異的細胞傷害性T細胞活性を誘導して,これによる疾患モデル作製を目指しているが,抗原提示細胞である樹状細胞の抗原提示能力を高める様々な工夫を試みている。具体的にはToll-like receptor familyのトランスフェクションやneat-shock protein結合ペプチドなどで修飾した樹状細胞を用いて,感受性マウスを免疫することで,マウスに有効な細胞障害活性を誘導することができた。
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