研究概要 |
平成16年度は、2例のパーキンソン病患者にそれぞれ淡蒼球刺激術と破壊術を行い、1例の片側性ジストニア患者に淡蒼球刺激術,1例の全身性ジストニア患者に両側視床刺激術を行った.淡蒼球手術を行った計3例でニューロン発火を記録した.片側性ジストニア例は55歳、女性.40歳より左上下肢の異常姿位が出現し緩徐に増悪.左手で物を持つ動作や車の運転がうまくできなくなった.53歳、右上下肢に舞踏運動が出現.頭部MRIではラクナ梗塞が散見された.左上下肢のジストニアがADLを低下させており、内服薬で改善が得られなかったために手術適応と判断された.術後6ヶ月で左下肢のジストニアが軽度から中等度改善し,歩行姿勢が改善し転倒がなくなった.左上肢のジストニア姿勢は明らかな変化はない.ニューロン発火解析では,パーキンソン病では平均発火頻度は淡蒼球外節63.7spikes/sec,内節87.7spikes/secであるが,本例では外節8.6spikes/sec,内節7.0spikes/secと著明に低下していた.また,記録針を進める時には発火が増加するが,そのままの位置を保つと数秒で発火頻度が低下してくる異常パターンがめだった.全身性ジストニア例は27歳,女性.著明な脳内石灰化があり,全身性ジストニアのために起立不能で,高度の頸部後屈のために摂食も困難であった.線条体の石灰化のために淡蒼球にアプローチできず,視床刺激術を行った.術後2ヶ月経ち四肢のジストニアは軽度改善したが,頸部後屈は依然として高度である。本例は全身麻酔下で手術を行ったので,ニューロン記録は行わなかった.
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