研究課題/領域番号 |
14570591
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
澤田 秀幸 京都大学, 医学研究科, 助手 (30335260)
|
研究分担者 |
下濱 俊 京都大学, 医学研究科, 助教授 (60235687)
|
キーワード | パーキンソン病 / プロテアソーム / ドーパミンニューロン / ミトコンドリア / Lewy小体 / MPTP / MPP+ / ロテノン |
研究概要 |
パーキンソン病におけるドーパミンニューロン死について、ミトコンドリア複合体I活性の低下とプロテアソーム活性との関連に重点をおき検討を行った。研究計画1〜3については、ミトコンドリア複合体I阻害薬として、1-methy-4-phenylpydinium ion(MPP+)およびrotenoneを用いてプロテアソーム活性を測定したところ低用量でプロテアソーム活性が増大することが示された。一方、酸化ストレスモデルとしてbuthionine sulfoximineを用いた場合はプロテアソーム活性の変化はみられず、プロテアソーム活性の上昇は単純な酸化ストレスよりはミトコンドリア複合体I活性の部分的抑制が重要であることが示された。ついでプロテアソーム阻害薬とMPP^+あるいはrotenoneとの組み合わせによって、ドーパミンニューロン死とプロテアソーム活性の関係を検討し、プロテアソーム活性が上昇する条件ではドーパミンニューロン死が促進され、活性が抑制された条件ではドーパミンニューロン死が抑制され、ミトコンドリア複合体Iの活性低下が神経細胞死を引き起こす機序の1つがプロテアソーム活性の増大であることが示された。プロテアソーム活性を抑制した条件ではドーパミンニューロン内にαシヌクレイン陽性封入体が形成され、この点からは、封入体形成とドーパミンニューロン死はプロテアソーム活性の点からは対極的な現象である可能性が示された。一方、ドーパミン合成の律速酵素であるチロシン水酸化酵素を阻害するα-methyl tyrosineを用いて細胞内ドーパミン含有量を減らした条件ではrotenone誘発ドーパミンニューロン死が阻害されることが示された。そこで、ミトコンドリア複合体I阻害によるプロテアソーム活性の増大にはドーパミンニューロン含有ドーパミンが関与していることが推定された。また、研究計画6については、MPP+によるドーパミンニューロン死にかかわるshort-lived proteinについて検討したところ、mitogen activating protein kinase(MAPK)の脱リン酸化が生じること、プロテアソーム活性を阻害するとMAPKがリン酸化されることが示された。
|