神経変性疾患脳の封入体形成におけるseptinの意義

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14570592
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 冨本 秀和 京都大学, 医学研究科, 助手 (80324648)
• 研究分担者: 北山 仁志 京都大学, 医学研究科, 助教授 (30231286) ; 野田 亮 京都大学, 医学研究科, 教授 (30146708) ; 秋口 一郎 龍谷大学, 健康管理センター, センター長 (30115779)
• キーワード: Septin / α-synuclein / ubiquitin / Lewy body / パーキンソン病 / 多系統萎縮症

研究概要

Diff6、Sep4/H5、CDC10、Nedd5、CDCrel-1、septin6、septin7、E-septin、G-septinの各種septin抗体を作成した。非神経疾患ヒト脳のホモジェネートを用い、抗体の特異性をimmunoblotting法で確認した。これら抗体を用い、パーキンソン病(PD)・びまん性レビー小体病(DLB)・多系統萎縮症(MSA)患者脳切片で免疫組織化学を行った。対照として非神経疾患患者の5剖検脳を用いた。各種septinの中で、sep4/H5のみがPD/DLB脳のレビー小体コア、およびMSA脳のグリア細胞質封入体(GCI)に陽性であった。二重免疫蛍光法で、αシヌクレインで標識されるレビー小体のうち、70-80%がsep4/H5陽性であった。FLAG標識Sep4/H5、myc標識αシヌクレインを線維芽細胞NIH3T3または神経芽細胞NI8に発現させ、共焦点レーザー顕微鏡で細胞内分布について検討したところ、それぞれ単独に導入した場合には顆粒状の細胞質内構造物が認められた。また、両蛋白を共発現させた細胞では明瞭な細胞質内封入体の形成を認めた。さらに、これら共発現させた細胞のホモジェネートを用いて免疫沈降を行ったところ、両蛋白の直接の結合が確認された。対照実験として変異型Sep4/H5をαシヌクレインと共発現させた細胞では、細胞質内封入体の形成は見られず、免疫沈降での両蛋白の結合も認めなかった。

研究成果

• [文献書誌] Iseki K, Mezaki T他5名: "Hypersomnia in MS"Neurology. 59・12. 2006-2007 (2002)
• [文献書誌] Hitomi T, Mezaki T他8名: "Improvement of central motor conduction after bone marrow transplantation in adrenoleukodystrophy"J Neurol Neurosurg Psychiatr. 74・3. 373-375 (2003)
• [文献書誌] Ohtani R, Tomimoto H他4名: "Raise up brain SPECT in patients with cerebrovascular white matter lesions"J Neurol. (印刷中).
• [文献書誌] Itasaka S, Miki Y他3名: "Leukoaraiosis on MR images may be attenuated with compression by a chronic subdural hematoma"Eur J Radiol. (印刷中).
• [文献書誌] Wakita H, Tomimoto H他4名: "Ibudilast, a phosphodiesterase inhibitor, protects white matter damagein chronic cerebral ischemia"Brain Research. (印刷中).
• [文献書誌] Ihara M, Tomimoto H他5名: "Identification of septin H5 as a common component of the cytoplasmic inclusions in synucleinopathy"J Biol Chem. (印刷中).
• [文献書誌] 冨本秀和(分担): "神経科学の基礎と臨床;脳室およびその周囲器官"ブレーン出版. 160 (2003)