研究概要 |
1パーキンソン病モデル動物の大脳基底核へのメラノーマ細胞の移植 チロシナーゼ産生細胞の細胞移植のパーキンソン病への治療応用に向けた基礎検討として,6-OHDAによる片側パーキンソン病モデルラットを用い,チロシナーゼ産生細胞としてメラノーマB16F1細胞を細胞移植し,行動学・組織学・生化学的評価を行った.メラノーマ細胞の障害側線条体外側への細胞移植により,アポモルフィンによる健常側への回旋運動は,移植7-14日後に有意に低下し,40日後までその効果は持続していた.メラノーマ細胞を移植した偽手術群およびパーキンソン病モデルラットでは,移植側線条体の挿入針跡に黒色の生存メラノーマ細胞が認められ,脳内に腫瘍塊形成はみられなかった.また,この移植メラノーマ細胞の周囲には,偽手術群およびパーキンソン病モデルラットのいづれにおいても,DA陽性シグナルが注入52日後でも非注入側に比べ強く認められた.チロシナーゼがドパミン生成・代謝という面性のドパミン維持機構を有するという昨年までの成果と併せると,このチロシナーゼ産生細胞(メラノーマ細胞)のドパミン神経機能補完作用はパーキンソン病治療に応用できうるものと考えられる. 2.マウス新生児からの皮膚メラノサイトの初代・継代培養 パーキンソン病モデル動物の大脳基底核への初代・継代培養メラノサイトの細胞移植に向けて,マウス新生児の皮膚メラノサイトの初代・継代培養の条件検討を行った.C57BLマウスの新生児の背部皮膚片から初代培養を行い,選択的に初代培養メラノサイトを得る至適条件を,また,DBcAMPとbFGF添加によりメラノサイトとメラノブラストの初代共培養系を得る至適条件を見いだした.さらに,C57BLマウスから得られた初代培養メラノサイトがalbinoマウスからのものに比べて高いチロシナーゼ活性を有していることを確認した.
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