研究概要 |
1.パーキンソン病モデル動物の大脳基底核への初代培養メラノサイトの細胞移植 昨年度のメラノーマ細胞の大脳基底核への細胞移植と同様に,6-OHDAによる片側パーキンソン病モデルICRマウスを作製し,昨年度その培養条件を確立した新生児C57BLおよびICRマウスの背部皮膚からの初代培養メラノサイトを障害側の線条体に細胞移植し,行動学・組織学・生化学的評価を行った. C57BLマウスからのメラノサイトを移植した群において,移植7日後よりアポモルフィン誘発回旋運動の著明な低下がみられ,2ヶ月後まで効果が持続していた.AlbinoのICRマウスからのメラノサイトを移植した群では,移植数日後で一過性にアポモルフィン誘発回旋運動の低下がみられるものの,持続する抑制効果は認められなかった.昨年度のメラノーマ細胞の移植によるパーキンソニズムの改善と今年度の初代培養メラノサイトの移植の結果をあわせると,これらチロシナーゼ産生細胞のDA神経機能補完作用は,パーキンソン病治療に応用できうるものであると考えられる. 2.パーキンソン病モデル動物の皮膚メラノサイトの培養 パーキンソン病モデル動物の皮膚メラノサイトの自家移植にむけた基礎検討として,片側パーキンソン病モデル作製に用いるC57BLマウスの背部皮膚片から常法に従って表皮の初代・継代培養を行い,bFGFやDBcAMPなどの栄養因子,分化誘導剤を添加し,形態学的変化ならびにL-dopa,チロシナーゼレベルの解析を行った.成体マウス背部皮膚片からの初代培養は毛根部の混入のため困難であった.次年度はパーキンソン病モデル動物の耳介皮膚からメラノサイトとメラノブラストの初代培養を行うことにし,L-dopaおよびドパミン,チロシナーゼレベルの至適な培養条件を明らかにする.
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