研究概要 |
本年度の研究実施計画に従い下記の検討を行った。 (1)髄液総Aβ40/42およびリポ蛋白非結合型Aβ40/42の測定 リポ蛋白非結合型Aβ40/42の作製は600μlのヒト髄液からsequence density floating超遠心法を用いてリポ蛋白分画を除去し、Aβ40/42の測定はELISAで行った。さらに、ゲルろ過法を用いて、高分子量のリポ蛋白結合型と低分子のリポ蛋白非結合型Aβ40/42を分取後、ELISAにて解析した。 (2)AD脳、正常加齢脳におけるリポ蛋白結合型と非結合型Aβ40/42の検討 6例のAD脳と4例の健常者脳からトリス緩衝液と70%蟻酸によって可溶性Aβ40/42と不溶性Aβ40/42をそれぞれ抽出した。トリス緩衝液可溶性Aβ40/42からゲルろ過法を用いて、高分子量のリポ蛋白結合型と低分子のリポ蛋白非結合型Aβ40/42を分取後、ELISAとイムノブロットにて解析した。脳内両分子種の存在を確認し、AD脳でAβアミロイド沈着に直接関与する分子種はリポ蛋白非結合型Aβである傍証を得た。 (3)家族性AD患者における総Aβ40/42およびリポ蛋白非結合型Aβ40/42の測定 本邦のAPP717変異家系(新潟,尼崎,東京家系)とpresenilin-1変異家系(大阪,兵庫,アルゼンチン家系)の家族性ADの血漿でリポ蛋白結合型および非結合型Aβ042を検討し,異なる遺伝子異常(APP, presenilin-1)でも弧発性ADやDown症候群と同様の変化が認められるか検討した。 (4)APP過剰発現トランスジェニックマウスのメラトニン治療 APPsw miceで4ヶ月齢から15.5ヶ月齢まで0.5mg/mlのメラトニンを飲水にて投与し、メラトニンの治療効果を検討した
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