研究課題/領域番号 |
14570598
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
永野 功 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (80335603)
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研究分担者 |
阿部 康二 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20212540)
本望 修 札幌医科大学, 医学部, 講師 (90285007)
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キーワード | ALS / IGF-1 / motor neuron / VEGF / SOD1 / G93A / transgenic mouse |
研究概要 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の病態解明琴すすめるために、ALSにおける運動ニューロン死の機序について、ALSのモデル動物である変異型ヒトSOD1(G93A)トランスジェニック(Tg)マウスを用いて解析した。 今年度は、vascular endothelial growth factor(VEGF)が運動ニューロン死に関与する可能性をさらに調べるために、ラット脊髄でVEGFの受容体FIk-1の発現をantisense oligonucleotide持続注入にてブロックした。2週間の発現阻止だけでは運動ニューロンには何の変化も出現しなかったが、これに1週間の12%O_2曝露を加えると運動ニューロンは対照の約50%に減少した。さらに、VEGFがFIk-1を介して誘導するリン酸化Akt(p-Akt)、リン酸化ERK(p-ERK)の発現は低酸素曝露によって上昇するが、これがFIk-1のブロックによって著明に低下していた。これらの結果からVEGFは低酸素曝露による運動ニューロン死を、FIk-1を介して阻止していると推定された。 さらに、insulin-like growth factor-1(IGF-1)による運動ニューロン死抑制効果を見るために、G93A Tgマウスの脊髄腔内に持続的に投与してその効果をみた。IGF-1投与は浸透圧ポンプを用いて140日齢より施行し、定期的にマウスの運動機能、体重を調べた。さらに240日齢で一部のマウスをsacrificeして脊髄運動ニューロンを調べた。IGF-1投与にてマウスの寿命は11%程度延長し、運動機能も比較的に保持された。さらに、運動ニューロン数の減少も対照に比べ約57%程度少なかった。さらにp-Akt、p-ERKの発現もIGF-1髄注によって増加した。これらの結果から、IGF-1髄注は、G93A Tgマウスに対して臨床的にも組織学的にも有効性を持つことが明らかになった。
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