研究課題/領域番号 |
14570615
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
岡野 ジェイムス洋尚 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (90338020)
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研究分担者 |
岡野 栄之 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (60160694)
赤松 和土 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60338184)
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キーワード | Hu / RNA結合タンパク質 / 傍腫瘍性脳脊髄症 / p27Kip1 / 翻訳調節 / IRES依存的翻訳 |
研究概要 |
傍腫瘍性脳脊髄症の標的抗原であるRNA結合タンパク質Huの下流遺伝子の検索を進めた結果、Huはp27Kip1の5'非翻訳領域のUGUUUUGU配列に特異的に結合し下流の翻訳を正に制御していることが明らかになった。またp27Kip1の5'非翻訳領域にはIRES活性が認められ、p27mRNAの翻訳がキャップ依存的機序とIRES依存的機序の両方によって行われていることが強く示唆された。またHuがキャップ依存的翻訳には正に、IRES依存的翻訳には負に作用することがレポターアッセイにより明らかとなった。Huによる翻訳調節の分子機構を解明するため、Huに結合するタンパク質を生化学的に精製、解析した結果、少なくとも5つのタンパク質がHuとRNA非依存的に複合体を形成していることが分かり、それぞれ質量分析による同定を試みた結果、このうち3つは既知のRNA結合タンパク質であることが判明した。現在、Huとこれらの分子との結合が直接結合であるかどうか検討中である。一方、ビオチン標識したp27 5'非翻訳領域RNAによる翻訳装置複合体の精製を試みた結果、少なくとも3つのタンパク質がp27 5'非翻訳領域に特異的に結合することが分かり、質量分析による同定を行っている。遺伝学的アプローチとして、HuBおよびHuDのノックアウトマウスを作成して解析を進めている。HuBノックアウトマウスは生後間もなく死亡し、大脳皮質の発達が野生型に比べ未熟であることが分かった。またHuDノックアウトマウスは胎生期に三叉神経の発達に異常が認められる上、成体マウスは失調様運動障害を呈し、野生型に比べ寿命が短いことが明らかとなった。以上の結果から、極めて似た構造を持つHuファミリーが神経分化の過程でそれぞれ固有の機能を持つことが推測された。今後、これらのマウスの神経幹細胞をニューロスフェアー法により培養し、その分裂能および分化能を検討する。
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