研究概要 |
目的:既に我々は、活性化血小板が低流速下で培養脳微小血管内皮細胞(HBEC)に粘着・凝集にすること(Neurosci Lett 274:199-202,1999)。およびこの血小板粘着・凝集が血小板糖蛋白GPIIb/IIIa拮抗薬(TAK-029)により抑制されること,(Neurosci Lett 301:33-36,2001)を報告した。今回は、fibronectin, fibrinogen, von Willebrand factorと血小板との粘着を抑制するarg-gly-asp-ser(RGDS)peptide, von Willebrand factor(vWF)とGPIbとの結合を抑制する抗von Willebrand factorモノクローナル抗体(NMC-4)の影響を検討した。 【方法】HBECをカバーグラス上にconfluentな状態に培養し、VEC(video enhanced contrast)顕微鏡(拡大倍率は3000倍)およびその灌流装置の観察台に装着した。A群(N=6):健常人より採血した多血小板血漿(PRP)をHBEC上に30分間灌流(shear rate;10/sec)し,その後,生理食塩水でHBEC上を洗浄し、HBECに粘着した血小板数を定量評価した。血小板の内皮への粘着・凝集の定量化は30μm x 30μmの区画へ粘着・凝集した血小板の数を各々100区画数え、その平均で評価した。B群(N=7):HBEC上をPRP+ADP(2μM)を30分間灌流、洗浄後同様な観察を行った。C群:(N=6):PRP+RGDS(50μg/ml)+ADP(2μM)を潅流し同様の観察を行った。D群(N=6):PRP+NMC-4(10μg/ml)+ADP(2μM)を潅流し同様の観察を行った。【結果】平均粘着血小板数は、A群;0.3±0.7/900μm^2,B群22.3±10.4/900μm^2(p<0.01,vs A群)、C群;0.3±0.2/900μm^2(p<0.01,vs B群),D群;18±11.6/900μm^2,であった。【結論】上記結果は、低流速下におけるHBECへの活性化血小板の粘着・凝集にfibronectin, fibrinogen, von Willebrand factorと血小板との粘着が重要な役割を果たしているが、vWFとGPIbとの結合は重要な役割を果たしていないことを示唆している。
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