神経筋接合部に集束するパールカンはアセチルコリンエステレースを神経筋接合部に局在させる働きを持ち、アセチルコリンシグナルによる筋の収縮、弛緩に重要な働きを持つことがパールカンノックアウトマウスの解析から明らかになった。しかし、パールカンのノックアウトマウスは出生後数時間以内に死亡するため軟骨特異的プロモーター(II型コラーゲン)下にパールカンを発現させるトランスジェニックマウスを交配することにより軟骨の異常をレスキューし延命をはかった。レスキューされたマウス(P-/-Tgマウス)を用いて、電気生理学的、筋病理学的に検討しSchwartz-Jampel SJSの発症機序を検討した。P-/-Tgマウスは電気生理学的に確認される筋の持続収縮を認めSJS患者に観察される眼裂の狭小化を認めた。この持続収縮は安静時、全身麻酔時にも観察され、クラレの局所投与によりアセチルコリン(Ach)の伝達が阻害されたときに消失することから神経、神経筋接合部由来である可能性が考えられた。神経筋接合部の異常をさらに検討するため、横隔膜を用いて微小電極による終板電位を検討した結果、電気生理学的にもAChEの部分欠損が確認された。本マウスはSJS患者の病態を再現しており、治療開発のモデルマウスとして有用と考えられた
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