研究概要 |
正常骨格筋のアクアポリン(AQP)分子の存在の検索では現在知られているAQP0からAQP10までの11種類のうち、AQP3,AQP4,AQP7がRNAレベルで骨格筋細胞質に、蛋白レベルで骨格筋細胞膜に存在することが確認され、AQP3,AQP7については本研究にて初めての発見である。AQP4は骨格筋線維のうち白筋線維(タイプ2線維)に赤筋線維(タイプ1線維)より強く発現しているが、AQP3はヒトでは赤筋線維に白筋線維より強く発現していた。またAQP7はヒトでは赤筋線維も白筋線維もほぼ同じ強さで発現していたが、マウス骨格筋ではAQP4と同じく赤筋線維よりも白筋線維により強く発現していた。その他AQP1についてはRNAレベルでは骨格筋にもその存在が確認されているが、蛋白レベルでは骨格筋組織内の血管内皮細胞に存在すると報告されているが、我々は骨格筋細胞膜にも存在するという所見を得ている。フラクチャーラベル免疫電顕法では種々の骨格筋細胞膜内粒子のうちAQP4はいわゆるorthogonal arrayであることを本研究でも確認し、AQP3は膜内粒子のうち結晶様構造を示さないが膜内で粒子が集合するparticle clusterであることを解明した。次に病的筋におけるAQP分子の変化については、以前Duchenne筋ジストロフィー症生検筋ではAQP4分子がRNAレベルで骨格筋細胞質での含量が減少し、蛋白レベルでは骨格筋細胞膜での発現が減少していることを報告した。本研究では福山型先天性筋ジストロフィー症で同様の所見を得た。更に神経原性筋萎縮症でも筋ジストロフィー症程強くはないが同様の所見がみられることを発見している。
|