研究課題/領域番号 |
14570638
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
高野 博之 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (60334190)
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研究分担者 |
小室 一成 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (30260483)
吉田 勝哉 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (10191579)
永井 敏雄 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (00334194)
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キーワード | 心肥大 / PPARγ / angiotensin II / チアゾリジン誘導体 / ノックアウトマウス |
研究概要 |
Peroxisome proliferator-activated receptor (PPAR)は核内レセプタースーパーファミリーに属する転写因子であり、α、β、γの3つのアイソフォームが存在する。PPARγは脂肪細胞の分化や糖代謝に関与し、インスリン抵抗性改善薬であるチアゾリジン誘導体はPPARγのligandであることが知られている。最近このPPARγ ligandが抗動脈硬化作用を有することが報告されたが、心臓における作用はまだ十分明らかにされていない。そこで今年度は心肥大のシグナル伝達経路におけるPPARγの関与およびPPARγ ligandの作用についてin vitroの実験で調べた。 1.方法 (1)培養細胞-新生仔ラットの心筋細胞を培養し用いた。心筋細胞肥大を誘導する際には、培養液を無血清に変えた後、angiotensin II (Ang II)を1μMの濃度で培養液に加えた。PPARγのligandであるチアゾリジン誘導体のtroglitazone、pioglitazone、rosiglitazoneの作用をみる場合には、それぞれのligandを1μM、5μM、10μMの濃度で培養液に加えた。(2)トランスフェクション-心肥大のマーカーであるskeletal α-actin (sk α-actin)やatrial natriuretic peptide (ANP)のレポーター遺伝子をリン酸カルシウム法によりトランスフェクションし、ルシフェラーゼ活性を測定した。(3)細胞染色-心筋細胞はホルマリンで固定後、rhodamine phalloidinでアクチンを染色し、心筋細胞を同定した後、心筋細胞表面積を計測した。(4)ノーザンブロット-心筋細胞または心臓からtotal RNAを抽出し、sk α-actinやANPの遺伝子発現を解析した。 2.結果 Ang IIにより惹起された心筋細胞の肥大反応(sk α-actinおよびANPのルシフェラーゼ活性や遺伝子発現の亢進)や心筋細胞表面積の増加はtroglitazone、pioglitazone、rosiglitazoneにより濃度依存的に抑制された。 3.考察 以上の結果から、in vitroの実験においてPPARγは心肥大のシグナル伝達経路に抑制的に作用していることが示唆された。今後はすでに準備してあるPPARγのノックアウトマウスを用いて心肥大におけるPPARγの役割について解析をおこなう予定である。
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