研究概要 |
対象:千葉大学医学部附属病院における経皮的冠動脈形成術(PCI)適応症例を無作為にアトロバスタチン10mg投与群、アムロジピン5mg投与群、バルサルタン40mg投与群ならびに対照群に割り付けた。これまでに各群とも約20例ずつのエントリーが終了した。 方法:薬剤投与前に血管内超音波法(IVUS)を用いてPCIの標的でない冠動脈枝において低エコー輝度のプラークを探し、高周波信号(RF)を収集した。薬剤服用6カ月後に再度、血管内超音波検査を行い、同一プラークでのRFを収集し、解析した。 結果:(1)アトロバスタチン投与群では、他群に比して血中LDLコレステロール値が有意に低下した。(2)アトロバスタチン投与群では、冠動脈プラークから得られるRFの解析パラメータのうち、integrated backscatter、mean-to-standard-deviation ratio, skewnessが6カ月間で有意に変化し、これはプラーク内での線維性組織の増加を示していた。(3)アトロバスタチン投与群では6カ月間でプラーク体積が有意に減少した。(4)アムロジピン群やバルサルタン群では6カ月間での変化はみられなかった。 考察:アトロバスタチンは投与開始後6カ月の時点ですでに冠動脈プラークを安定化させる効果を示した。これは大規模臨床試験において投与開始後6カ月以降から心事故が減少していくという結果の機序を示唆するものとして注目される。 今後の課題:さらに12カ月の時点で冠動脈プラークがいかに変化するか、他群のデータも観察をつづけてみたい。 以上の結果は、2002年11月の米国心臓協会(シカゴ市)において発表した。
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