研究概要 |
(1)骨髄移植マウスにおける検討 マウスに13Gyのx線を2分割照射した後,donorマウスの骨髄細胞を尾静脈より投与して骨髄を置換した骨髄移植マウスを作成した.recipientとしてwild-typeマウスおよびTNF-αKOマウスを,donorとしてGFPトランスジェニックマウスを使用した.この骨髄移植マウスにおいて虚血/再灌流を行ったところ,梗塞領域に骨髄由来と考えられるGFP陽性細胞を認めた.梗塞領域に骨髄由来の細胞が存在することは既に知られており,障害部位の修復や再生に関与しているもとと考えられているが,どのようなfactorにより骨髄由来細胞が梗塞領域に導かれて定着していくかのメカニズムは明らかでない.recipientとしてwild-typeマウスを用いた群とTNF-αKOマウスを用いた群を比較したところ,TNF-αKOマウスをrecipientとして用いた群の方が梗塞領域における骨髄由来細胞の定着が大であった. (2)ランゲンドルフ灌流心を用いた検討 白血球は再灌流傷害を惹起する最終的なeffectorと考えられる.SDラットの摘出心をランゲンドルフ灌流装置に懸垂し,対照群,白血球浮遊液灌流群,白血球浮遊液+補体灌流群に分け,pump-offによるglobal ischemiaの後,再灌流を行った.その結果,心臓から流出した灌流液中のCK・LDH濃度は対照群に比して白血球浮遊液灌流群,白血球浮遊液+補体灌流群の順に有意に上昇した.また,心機能も同様に悪化した.これらの結果から,再灌流傷害には白血球浮遊液および補体が関与していることが示された.一方,白血球浮遊液灌流群や白血球浮遊液+補体灌流群においては対照群に比してheat shock proteinの発現増加が認められ,浸潤した白血球は防御因子の発現を誘導していることも示唆された.
|