研究課題
【目的】前年度研究において、血管内皮細胞におけるアポトーシスの出現には、細胞内Ca濃度の上昇よりも、小胞体内のCa枯渇が重要であること。また、Caspase-12(C-12)非依存的なアポトーシスシグナル経路が存在することが示唆された。平成16年度研究では、caspase inhibitorとcalpaln inhibitorを用い、thapsigargin刺激時およびBAPTA/AM(20μM)で前処置しBK刺激を行った際に生じるアポトーシスについて検討した。【方法】細胞内Ca濃度はira-21AM負荷法を測定した。アポトーシスはDNA Ladder法を、C-12の活性化はWestern blotting法を用いて判定した。【成績】Calpain inhibitorであるMDL28170(120μM)存在下で、thapsigargin(2μM)投与時のC-12の活性化は抑制されたが、アポトーシスは出現した。非選択的なcaspase inhibitorであるzVAD-fmk(100μM)存在下で、thapsigargin投与時のC-12の活性化とアポトーシスはともに抑制された。また、BAPT/VAM(20μM)の前処置下でBK刺激を行った際に生じるC-12非依存的なアポトーシスもzVAD-fmk(100μM)は抑制した。【結論】1)C-12によるアポトーシスシグナル経路の上流にはcalpainが位置し、2)thapsigarginによるアポトーシスの出現には、C-12依存的な経路と、caspase依存的ではあるがC-12非依存的な経路が存在すること、3)小胞体Ca枯渇によって生じるアポトーシスは、caspase依存的ではあるがC-12非依存的なシグナル経路を介することが示唆された。
すべて 2004
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MOLECULAR AND CELLULAR BIOCHEMISTRY 259
ページ: 169-176
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