研究概要 |
T型Ca^<2+>チャネル(α1G,α1H)の発達に伴う変化 本実験では、マウス心筋の発達に伴うT型Ca^<2+>チャネルの変化を分子生物学的及び電気生理学的に検討した。心室あるいは単一心室筋細胞は、胎生9.5日齢、18日齢マウスから得た。膜電流はパッチクランプ法により記録した。T型Ca^<2+>チャネルをコードする遺伝子であるCav3.1(α1G),Cav3.2(α1H)遺伝子の発現については、リアルタイムPCR法で解析した。大きなT型Ca^<2+>チャネルが胎生9.5日齢、18日齢では記録できるが、成熟期には記録できなかった。その電気生理学的性質は、Cav3.2の機能的発現を示唆した。mRNA発現解析では、Cav3.2遺伝子が胎生9,5日齢から強く発現し、発達に伴い減少したが、Cav3.1は胎生18日から少量の発現が認められた。病態心筋で観察される異常自動能は、Cav3.2遺伝子でコードされるT型Ca^<2+>チャネルが関わることも予想された。 L型Ca^<2+>チャネルの発達に伴う変化 我々は、L型Ca^<2+>チャネルの発達に伴う変化を電気生理学的・分子生物学的に検討した。心室あるいは単一心室筋細胞は、胎生9.5日齢、18日齢マウスから得た。膜電流はパッチクランプ法により記録した。L型Ca^<2+>チャネルをコードする遺伝子であるCav1.2(α1C),Cav1.3(α1D)遺伝子の発現については、リアルタイムPCR法で解析した。胎生初期マウス心室筋のL型Ca^<2+>チャネルはその活性化曲線・不活性化曲線とも陰性にシフトしており、Cav1.3遺伝子の特性を示した。mRNA発現でも、胎生9.5日齢はCav1.3遺伝子優位であり、胎生18日齢・成熟期ではCav1.2が主であった。またCav1.3のsplicing variantについても別に検討した。
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