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2003 年度 実績報告書

細胞遊走に関わる分子のクローニングとその解析

研究課題

研究課題/領域番号 14570657
研究機関京都大学

研究代表者

荒井 秀典  京都大学, 医学研究科, 講師 (60232021)

キーワード単球 / 接着 / メカニカルストレス / スタチン / 動脈硬化
研究概要

【目的】狭窄血管の下流において白血球は乱流による刺激を受けると考えられるが、このような部位は粥状動脈硬化病変が起きやすい。このようなシアストレスの変化は内皮細胞における接着因子の発現増加を来たし、それが動脈硬化と関連すると考えられている。白血球にも同様なストレスがかかっていると考えられるが、そのストレスによる白血球への影響に関してはほとんど知られていない。本研究においては乱流が単球における接着分子に影響を与えることにより、その接着に変化を来すか否かを検討した。また、コレステロール低下剤であるスタチンがその接着に影響を及ぼすかいなかについて検討した。【方法】THP-1細胞を用い、ボルテックスミキサーにより細胞をボルテックスしたのち、可溶型vascular cell adhesion molecule-1(VCAM-1)及びフィブロネクチンへの接着を検討した。また、プラバスタチン、フルバスタチンにより24時間THP-1細胞を前処置した後、ボルテックスミキサーにより細胞を1500rpmで5秒間ボルテックスし、可溶型VCAM-1及びフィブロネクチンへの接着を検討した。【結果】コントロールにおいてはボルテックス刺激によりVCAM-1及びフィブロネクチンに対する接着が約7倍した。細胞内カルシウムの影響を検討するため、細胞内のカルシウムのキレート剤であるBAPTAをボルテックスの前に加えると、その接着がほぼ完壁に抑制された。また、100μMまでのプラバスタチンで前処置してもボルテックス後の細胞接着に影響はなかったが、フルバスタチンと前処置すると濃度依存性に細胞接着が抑制された。このフルバスタチンによる細胞接着抑制効果はメバロン酸の添加により回復した。また、フルバスタチン、及びプラバスタチン前処置により、THP-1細胞におけるβ1インテグリンの発現には変化を認めず、Rho阻害剤であるC3によってボルテックス後の細胞接着に影響は認めなかった。【結論】THP-1細胞において生じるボルテックスによる細胞接着性の亢進は細胞内カルシウム依存性の接着であり、フルバスタチンにより特異的に抑制された。このメカニズムとしてRhoは関与していないことが示唆された。この結果はフルバスタチンによるプレオトロピック効果と考えられ、その新たな作用であることが考えられる。フルバスタチンは乱流による単球-内皮細胞の相互作用を抑制しうる可能性を示唆した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Ohashi S, Abe H, Takahashi T, Yamamoto Y, Takeuchi M, Arai H, et al.: "Advanced glycation end products increase collagen-specific chaperone protein in mouse diabetic nephropathy"J.Biol.Chem.. In press. (2004)

  • [文献書誌] Xu Y, Arai H, Zhuge X, Sano H, Murayama T, Yoshimoto M, et al.: "Role of bone marrow-derived progenitor cells in cuff-induced vascular injury in mice"Arterioscler Thromb Vasc Biol.. 24. 477-482 (2004)

  • [文献書誌] Abe H, Matsubara T, Iehara N, Nagai K, Takahashi T, Arai H, et al.: "Type IV collagen is transcriptionally regulated by Smad1 under advanced glycation end-products (AGEs) stimulation"J.Biol.Chem.. In press. (2004)

  • [文献書誌] Nagai K, Arai H, Yanagita M, Matsubara T, et al.: "Growth arrest-specific gene 6 is involved in glomerular hypertrophy in the early stage of diabetic nephropathy"J.Biol.Chem.. 278. 18229-18234 (2003)

  • [文献書誌] Ashida N, Takechi H, Kita T, Arai H: "Vortex-mediated mechanical stress induces integrin-dependent cell adhesion mediated by inositol 1,4,5-trisphosphate-sensitive Ca2+ release in THP-1 cells"J.Biol.Chem.. 278. 9327-9331 (2003)

  • [文献書誌] Yanagita M, Ishimoto Y, Arai H, Nagai K, Ito T, Nakano T, et al.: "Essential role of Gas6 for glomerular injury in nephrotoxic nephritis"J Clin Invest. 110. 239-246 (2002)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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