【目的】最近、冠動脈疾患患者の生命予後がスタチン療法により改善することが証明された。我々はその機序を解明するため心筋細胞のアポトーシスとその制御シグナルに対するアトルバスタチンの作用について解析した。 【方法】10週齢雄SDラットより分離・培養した心筋細胞にprotein kinase C(PKC) inhibitorであるstaurosporineを加えアポトーシスを誘導した。心筋細胞のアポトーシスの証明・定量はTUNEL法により、また心筋細胞内PKC活性・caspase-3活性の測定は、リン酸化PKC認識抗体を用いたウエスタンブロット法、およびcaspase-3特異的発色基質を用いた比色法により行った。 【結果】staurosporineは心筋細胞内においてPKC活性を低下、caspase-3活性を増加させ、心筋細胞のアポトーシスを誘導した。アトルバスタチンはstaurosporineによる心筋細胞内PKC活性・caspase-3活性の変化を抑制し、心筋細胞のアポトーシスを臨床用量の範囲内で用量依存的に抑制した。 【結語】最近、虚血心における心筋保護シグナルとしてPKC活性の重要性が注目されている。我々はアトルバスタチンが心筋細胞内PKC活性を増加させアポトーシスを抑制することを証明した。心筋細胞のアポトーシスは虚血心における心筋傷害の主因であり、我々の実験結果は冠動脈疾患患者の生命予後がスタチン療法により改善する機序の1つを示唆するものと考えられる。
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