動脈硬化危険因子としてのクラミジア持続感染に関する研究

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14570668
• 研究機関: 愛媛大学
• 研究代表者: 小原 克彦 愛媛大学, 医学部, 助教授 (30260384)
• キーワード: クラミジア・ニューモニエ / 動脈硬化 / 疾患感受性遺伝子 / 関連研究 / ゲノムワイド・スクリーニング / マイクロサテライトマーカー

研究概要

愛媛県下のA地域在住の一般住民330名において、クラミジア・ニューモニエ持続感染に関連する遺伝子を候補遺伝子的アプローチを用いて検索した。検討した遺伝子は、動脈硬化性疾患関連の遺伝子群で、レニン・アンジオテンシン系・交感神経系、内皮関連物質等の既報の13遺伝多型について検討を行った。その結果、アンジオテンシノーゲン(AGT)M235T多型、ドパミンβ水酸化酵素(DBH)C1021T多型、およびGs蛋白αサブユニット(GNAS1)T393C多型が、クラミジア・ニユーモニエの感染抗体陽性率と有意に相関することが認められた。これをさらに確認するために愛媛県下B事業所勤務者220名の隼団において、結果の再現性を検討したが、いずれの多型もこの集団においては、クラミジア・ニューモニエの感染抗体と有意な相関が認められず、一貫した成績は得られなかった。今後、候補遺伝子を拡大して、同様の検討を進める予定である。地域住民と事業所勤務者において、一定した成績が得られた後、C病院受診者の動脈硬化性疾患患者における検討を行う予定である。
愛媛県下B事業所勤務者のクラミジア・ニューモニエ感染抗体陽性者80例と陰性者50例、擬陽性者80例を対照として、ゲノムワイドの連関研究を開始した。現時点までに80種類のマイクロサテライトマーカーを用いて、全ゲノムをラフにスクリーニングしたが、現時点では、明らかな相関を示すマーカーは得られていない。今後、マーカーの数を増加させて、ゲノムワイドな検討も進める予定である。

研究成果

• [文献書誌] Kohara, K., et al.: "THFR Gene Polymorphism as Risk Factor for Silent Brain Infarcts and White Matter Lesions in Japanese General Population: NILS-LSA Study."Stroke. (発売予定).
• [文献書誌] Kohara, K., et al.: "Chlamydia pneumoniae Seropositivity is Associated with Increased Plasma Levels of Soluble Cellular Adhesion Molecules in Community-Dwelling Subjects: J-SHIPP"Stroke. 33. 1474-1479 (2002)
• [文献書誌] Tabara, Y., Kohara, K., Miki, T.: "Polymorphisms of genes encoding sympathetic nervous system but not renin-angiotensin system as risk factors for orthostatic hypotension."Journal of Hypertension. 20. 651-656 (2002)
• [文献書誌] Tabara, Y., Kohara, K., et al.: "Gene for cost?"Journal of American Geriatric Society. 50. 775-776 (2002)
• [文献書誌] Abe, M., Kohara, K., et al.: "Association of GNAS 1 gene variant with hypertension depending on smoking status."Hypertension. 40. 261-265 (2002)
• [文献書誌] Kawamoto, R., Kohara, K., et al.: "An interaction between systolic blood pressure and angiotensin-converting enzyme polymorphism on carotid atherosclerosis."Hypertension Research. 25. 875-880 (2002)