研究概要 |
心筋リモデリングには機械的刺激や神経・体液性因子の活性化が挙げられ、心筋細胞の肥大とともに間質の線維化が生じる。本研究では心筋リモデリング過程における細胞外基質の合成・分解に関与するmatrix metalloproteinase(MMP)とそれに関与する液性因子やサイトカインとの制御機構を明らかにし、心筋細胞と線維芽細胞とのシグナル伝達系のクロストークを研究した。今回、新生児ラット心筋より心筋細胞および線維芽細胞を個別に単離し、48時間低酸素条件(95%N2+5%CO2)にて培養し、再酸素化(95%Air+5%CO2)における細胞障害における脳性ナトリウム利尿ホルモン(BNP)の発現様式とその制御機構について検討した。併せてリモデリングに関与するTNF-a、IL-1bなどのサイトカインやMMP, TIMPの発現を検討した。BNPの発現は再酸素後3時間後に最も強くmRNAと蛋白の発現を,認め以後漸減した。同時に培養液中にコラーゲンI, III型の分泌も認めた。MMP, TIMPの発現は再酸素後30分より発現を認めた、以後漸減した。また、この再酸素化におけるBNPの変化はAngiotensin IIの前処置と同様であった。現在、ACE阻害剤、Angiotensin II拮抗薬MMP阻害剤の前処置におけるBNPの発現効果について検討しているが、チアゾリヂン誘導体であるPPAR-r agonistであるPioglitazone(0.1-10uM)の前処置においては有意に減少した。この変化はNFk-Bの抑制剤で消失することから、NFk-B経路を介していると考えている。
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