TNF-alphaは、心筋のアポトーシスをおこすこと、心筋梗塞で増加することが知られている。一方、soluble TNF-alpha receptor 1(sTNFR1)は、TNF-alphaの拮抗剤である。そこで、sTNFR1の心筋梗塞における影響を検討した。sTNFR1 plasmidは、急性心筋梗塞おいて、TNF-alpha、心筋のアポトーシスを減少させ、梗塞範囲を減少させた。また、TNF-alphaは、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)のレセプター(KDR/flk-1)を不活性化することにより、血管内皮細胞の増殖を抑制することが知られている。そこで、次に、sTNFR1の血管新生における影響を検討した。まず、in vitroにおいて、sTNFR1 plasmidを導入した血管内皮細胞は、TNF-alphaにおけるアポトーシスに拮抗し、増殖能を有することを報告した。次に、in vivoでは、雄ウィスターラット末梢血管虚血モデルにおいて検討した。虚血部位でTNF-alphaは増加していたが、sTNFR1 plasmidその増加を抑制した。VEGFは、シャム手術のラットでは発現が見られなかったが、sTNFR1 plasmid注射のラット及びLacZ plasmid注射のラットでは有意に増加し、両群間に有意差はなかった。sTNFR1 plasmidは、LacZ plasmid注射のラットで減少していた虚血部位のKDR/flk-1 mRNA及びKDR/flk-1のチロシンリン酸化を増加させ、血管新生を増加させた。
|