1.血管内皮細胞は、密な細胞間接触が生じると増殖を停止する。その細胞間接触による増殖停止の際に、細胞周期制御因子p27^<Kip1^1>蛋白質の発現が上昇する。その発現の上昇は、 p27^<Kip1^1>遺伝子の転写の亢進によることを明らかにした。 2.細胞間接触に反応する転写調節領域を解析するための培養系を確立した。 3.ブタゲノムライブラリーより得たp27^<Kip1>遺伝子の全長を含むクローンのプロモーター領域の翻訳開始点の上流1500-ntを解析した。内皮細胞同士の同種細胞間の接触に反応する領域は、翻訳開始点の上流-333〜-247ntであった。しかし、この領域は、HeLa細胞との異種細胞間の接触には反応しなかった。すなわち、細胞間接触によるp27^<Kip1>遺伝子の転写亢進には、-333ntから-247ntまでの89bpが重要であること、内皮細胞同士の接着が必要であることが示唆された。 4.細胞周期の解析に有益な、HIV TAT蛋白質細胞侵入性ペプチドを用いて細胞内蛋白質導入法を確立した。この方法を用いて、血管内皮細胞のS期進行には、低分子G蛋白質の一つであるRhoファミリー蛋白質がG_1後期(植え付け12-16時間)に活性化される必要があることが明らかにした。 5.Forkhead転写因子AFXが、p27^<Kip1>遺伝子の転写活性を亢進させた。
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