研究分担者 |
村田 光延 自治医科大学, 医学部, 助手 (10326853)
三橋 武司 自治医科大学, 医学部, 講師 (60275675)
島田 和幸 自治医科大学, 医学部, 教授 (90145128)
梅田 裕司 自治医科大学, 医学部, 助手 (70326825)
星出 聡 自治医科大学, 医学部, 助手 (90326851)
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研究概要 |
睡眠時呼吸障害が心血管系イベントの危険因子として注目されている。平成14年度は日本人高血圧患者における睡眠時呼吸障害による夜間低酸素血症と夜間血圧下降度との関連について検討した。多施設から登録した未治療本態性高血圧日本人258名(平均年齢:61歳,24時間平均血圧139/83mmHg)を対象として,24時間血圧測定と夜間パルスオキシメーターを施行し,その血圧日内変動によりextreme-dipper[ED群:夜間収縮期血圧下降度【greater than or equal】20%],dipper[D群:【greater than or equal】0%,<20%],non-dipper[ND群:>0%,【less than or equal】10%],riser[R群:【less than or equal】0%]に分類した。また、パルスオキシメーターの酸素飽和度[SpO2]が3%以上低下する夜間SpO2低下指数が10回/時間以上ある場合に頻回夜間SpO2低下と定義し,また全睡眠時間に対する,SpO2が90%以下の睡眠の割合が2%以上の場合に夜間低酸素血症と定義した.BMI(平均24.1Kg/m^2)>25Kg/m^2を肥満群(n=83,平均年齢:58歳,平均血圧143/85mmHg),BMI【less than or equal】25Kg/m^2を非肥満群(n=175,平均年齢62歳,平均血圧137/87mmHg)と分類した.その結果、頻回夜間SpO2低下は日本人高血圧患者の15.9%,夜間低酸素血症は140%と高頻度であった.3%dipODIは肥満群で平均8.0回/時間,非肥満群で平均5.1回/時間と前者で有意に高値であった(p=0.001).非肥満群においてはR群[n=13,平均67歳,平均血圧140/83mmHg]は他群と比較して,有意に頻回夜間SpO2低下の頻度が多かった[R群30.8%(群中においての割合)vs D群9.6%,p=0.035;vs E群5.9%,p=0.022;vs N群10.9%,p=0.069].さらに,非肥満群のR群は他群と比較して,有意に夜間低酸素血症が高頻度であった[R群30.8%vs D群9.6%,p=0.035;vs E群11.8%,p=0.121;vs N群9.1%,p=0.038].結論として、日本人高血圧患者の内、睡眠時呼吸障害による夜間低酸素血症は14.0%と高頻度であった。特に、非肥満者において夜間血圧上昇群Riserに夜間睡眠時低酸素血症が関与していることが伺えた.Riserについては高血圧患者でも特に予後不良がすでに明らかになっており,今後、夜間低酸素血症の循環器系に及ぼすメカニズムの研究が重要と考えられる。
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